キンバリー・クラーク、マインドシェアとの協業で消費者分析を刷新、グローバルなエンゲージメントを可能に

米消費財大手キンバリー・クラーク(Kimberly-Clark)は、クッキーレスのアクティベーションや、オーディエンスのモデリング、オムニチャネルの測定を導入し、大幅なコスト削減に成功しています。データワークフローの標準化、データ資産を LiveRamp の Safe Haven プラットフォームに直接ライセンスする新たな方法の確立による成果です。

  • 30%

    フルタイム換算での時間削減
    (エンドツーエンドのデータ処理に要する時間)

課題

キンバリー・クラーク(Kimberly-Clark)は、世界人口の 4 分の 1 以上の人々が愛用する信頼性の高い商品を提供しています。独創性と発想力、そして消費者の根源的なニーズに対する理解を原動力として、価値ある体験を提供する製品を 150 年以上にわたって製造しています。

しかし、そのイノベーションを支えてきた消費者インサイトやシグナルの価値について、新たな脅威が生じてきました。グローバルに影響する GDPR や CPRA などのデータプライバシー法の施行や、行動追跡に使われてきたサードパーティクッキーの廃止の動きのほか、ショッパーの新たな行動や嗜好を示すリテールデータに直接アクセスできないことが、消費者のニーズを的確に理解して策を講じるうえで制約になりつつあります。

このような問題は、機械学習による予測モデルの構築、スケーラブルなストレージによる膨大なデータセットの処理、これまでローカルサーバーでは対処できなかった大規模な分析クエリの構築と実行など、クラウドのテクノロジーの大きな進歩と同時に発生しました。

キンバリー・クラークは、ソリューションの評価とサポートにおいて、マインドシェア(Mindshare)の協力を得ることでこれらの課題を解決しました。

マインドシェアは、グループエム(GroupM)と WPP の傘下にあるグローバルメディアエージェンシーであり、キンバリー・クラークの指定広告代理店(AOR)です。消費者メディアやオーディエンスのモデリング、データサイエンス、データプライバシーのベストプラクティスや将来的なトレンドに関する専門的なインサイトを有しています。キンバリー・クラークがインサイト主導の先進的なイノベーションを導入できるよう、マインドシェアは、戦略と実践の両面でソリューションの展開をサポートしています。

私たちは将来を正確に予測することはできません。しかし、常に消費者を中心に考え、成果を検証することが重要です。検証結果に基づいて次に取るべきアクションを決定できます。
キンバリー・クラーク グローバルテクノロジーディレクター Jason Niemi 氏

ソリューション

キンバリー・クラークは、制約がある既製のソリューションではなく、消費者の変化や市場の変革に適応可能で組織全体のデータアクセスを強化できる、拡張性の高いデータアーキテクチャを選択しました。

クラウド基盤として Google Cloud を採用し、Big Query とその支援ツールやライブラリを中心として、一元的なクラウドデータウェアハウスを立ち上げました。

Google Cloud 上には、プライバシーに配慮した LiveRamp のデータコラボレーションプラットフォームを展開し、消費者データのワークスペースを構築しました。このワークスペースは、LiveRamp の ID フレームワークを基盤として、プライバシー重視のデータ接続や、オーディエンスのモデリング、メディア測定、データコラボレーションを提供します。Safe Haven が備えるデータ保護は、リテールパートナーが提供する豊富なトランザクションデータへのきめ細かなアクセスを可能にするうえでも重要です。

マインドシェアは、キンバリー・クラークの先進的なソリューションに関し、テストとロールアウトの全段階で次の3 つの重要な任務を果たしました。

テクノロジーの進化:ID 解決を利用した強力な分析と、秘密性が高く個人を特定可能な消費者情報の保護を両立できる、最善のテクノロジーを選定し、グローバルなプライバシー法に準拠した成長を可能にしました。

データエコシステムの拡充:ブラックボックス化したサードパーティのオーディエンスモデルを排除し、社内チームの管理を強化して透明性を確保する目的から、キンバリー・クラークとデータプロバイダとのパートナーシップのあり方を転換させ、クッキーレス時代の強力なデータエコシステムを新たに確立しました。このデータエコシステムは、消費者とリテールトランザクションに関する正確なシグナルに支えられており、商品の好みとコホートの把握や、購入パスに関する高度な分析が可能です。

人ベースのアクティベーションと戦略:ファーストパーティデータとセカンドパーティデータの両方のインサイトを活用できるようにして、コンテキストターゲティングや、セグメント間でのチャネルのパフォーマンスの最適化を可能にしました。

成果

キンバリー・クラークは、消費者インサイトの集約と強化をこれからもめざしています。既に、クッキーレスでのアクティベーションや、オーディエンスモデリング、オムニチャネルの測定は、コストの大幅な削減につながっています。データワークフローを標準化したことと、分析やインサイト抽出、ターゲティングに利用できるデータ資産を Safe Haven プラットフォームに直接ライセンスする新たな方法を特定したことが寄与しています。

データの集約によって、社内でのモデリングとレポートのプロセスが整理され、従業員の業務の効率化が明らかになりました。例えば、エンドツーエンドのデータ処理に対する透明性と管理によって、現時点ではフルタイム換算で 30% の時間削減を達成しています。

この新しいソリューションを基盤として、キンバリー・クラーク社内でビジネス変革の方向性が確立したことは何より重要です。強力なデータインフラのフル活用に向けて、既存の人材をスキルアップすることの重要性が明確になりました。キンバリー・クラークは、このようなビジネスの進化とともに、消費者に対する正確で深い理解を新たな支えとして、次世代に向けたイノベーションを推進しています。