ダノン、LiveRamp の Safe Haven で顧客インテリジェンスとアドレッサブルなリーチを強化
ダノンは、リテールパートナーとのコラボレーションを通じて新たなオーディエンスのインサイトを獲得し、メディア戦略の転換とチームの強化を実現しています。
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34%
アドレッサブルな購買者の割合
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17%
eコマースの売上増大
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24.7%
Facebook と Google の測定での総売上増大
ソリューション
ダノンは、意欲的な長期目標の達成をめざして、ナンバリー(Numberly)と LiveRamp との連携を選択し、まず、次の 2 点を目的としたテストを設計しました。
- デジタル広告がオーディエンスセグメントに及ぼす効果と、オーディエンスセグメントの購入パスに及ぼす効果を、ある大手リテーラーに関して把握する。
- そのリテーラーから提供されるトランザクションデータに基づいて、オムニチャネルのアクティベーションを最適化する。
この設計にあたり、ダノンは、ナンバリーのデータマーケティングのエキスパートから、LiveRamp の Safe Haven の導入における支援を求めました。Safe Haven は、オムニチャネルのアクティベーション、レコードレベルの詳細なモデリング、堅牢なデータセキュリティをサポートし、信頼できる複数のビジネスパートナー間のコラボレーションを可能にする、高度なデータ基盤です。Safe Haven は規制に準拠した人ベースの基盤として、ダノンの消費者インテリジェンスの刷新を支えることになります。
続いてダノンは、ナンバリーの分析のエキスパートから、テストの設計、過去のセグメントの改善、キャンペーン戦略、マーケティング効果の測定に関して支援を受けました。また、リテーラーの提供するデータに不足した要素を特定し、高精度の完全な分析を達成するという面でも支援を得ました。最後に、ダノンとリテールパートナーの間で、必要なデータコラボレーションについての交渉が行われました。このパートナーシップは直ちに前進しました。理由は、Safe Haven にデータセキュリティが組み込まれていることと、リテールデータが仮名化され、個人を直接特定できる情報が含まれていないことにありました。Safe Haven ではデータレコードのコピーやエクスポートが認められていないため、データを自社で常に管理し、制御できます。かくしてダノンは、ポストクッキー時代の広告に移行してデータの未来を制するという大きな目標を達成するための基礎となる実験の準備を整えました。
事前準備:セグメントの再検討と実験設計
ナンバリーのチームはダノンに対し、新たに提供されるリテールのショッパーの情報に基づいて既存のセグメントやキャンペーンオーディエンスを再検討するよう勧めました。リテールのレコードは、LiveRamp の強力な ID をデータの結合キーに使用した修正版のオーディエンス定義と関連付けました。これらのセグメントに関して、過去の収益パフォーマンスをレコードレベルで分析することが可能になったため、売上パフォーマンスが低調なセグメント 1 つを除外し、オーディエンスの行動の相関性が高い 2 つのセグメントを統合しました。更に、ショッパーデータとの関連付けに基づいて、優れたパフォーマンスが見込まれる 2 つのテストセグメントを新たに構築しました。このような事前準備により、合計 6 つのセグメントで実際のインクリメンタリティの測定と最適化を行うための実験設計が可能となりました。
クッキーレスでのオーディエンスのアクティベーション
ナンバリーは Safe Haven 環境でセグメントを直接アクティベートし、ダノンのオーディエンスの定義に関してチャネル間の一貫性を確保しました。一貫した定義は、キャンペーン後に抽出するインサイトの信頼性向上につながったほか、ホールドアウト戦略の成功のカギにもなりました。各セグメントのコントロールグループをチャネル間で正確に統一することは、指標の上昇を測定するためだけでなく、マーケティング全体のインクリメンタリティを正しく理解するうえでも重要です。人ベースのセグメントは、セグメントのオーバーラップによってインプレッションが重複し分析が複雑化するのを回避できるという点で、以前から有益でした。ナンバリーは、セグメントごとにカスタマイズしたメディアミックスをキャンペーンを通して最適化するためのベースラインを確保できるよう、接触者グループと非接触者グループを 80 対 20 に正確に分けるオーディエンス分割の準備を整えました。
キャンペーンの実施と効果測定
ダノンは、ナンバリーの支援のもと、実験で最初に使用するチャネルとして、Facebook と DV 360(ディスプレイ&ビデオ 360)を選択しました。ナンバリーは、個別のセグメントを対象とする従来型の訴求と、隣接セグメントとのデータの類似性に基づく新しいクリエイティブの両方をテストするために、キャンペーンメディアの選択肢を複数用意しました。これにより、クリエイティブと入札戦略をセグメントごとに最適化し、キャンペーン全体を通して実際のインクリメンタリティを最大化できます。
分析の初期段階で判明した意外な事実は、エンゲージメント指標(例えば動画視聴完了率)と売上実績の相関性が低下していたことでした。人レベルの収益分析を利用できなかった以前のキャンペーンでは、パブリッシャーが提供するインプレッションやエンゲージメントの指標は購入意欲を示していると想定していました。しかし、ナンバリーによる毎日の分析と毎週の戦略レビューによって、この想定は事実と異なることが判明しました。キャンペーンに関するその後の意思決定では、これらの指標と購入意欲とを切り分けて、キャンペーン目標ごとに個別に適用する必要があると明らかになりました。
キャンペーンの終了時点で、コンバージョン率の上昇は全体で実に 7.9% に達しました。この間、調査対象のリテーラーの Web サイトでも、ダノンの商品ページのトラフィックとエンゲージメントが増加し、e コマースのコンバージョンは 22.4% 増、全体の総売上は 24.7% 増となりました。意外にも、ナンバリーが新たに割り出した 2 つのオーディエンスセグメントが最も優れた結果を残しました。メディア戦略の改善というダノンの当初の目標や、顧客インテリジェンスの強化、旧来の想定の検証、他の方法では得られない新たなインサイトの抽出という目的は達成されました。
成果
ダノンは、オーディエンスセグメントの最適化や、消費者に対するハイレベルなアドレッサビリティと効果測定を達成し、その過程で消費者インテリジェンスを強化できました。このテストはダノンにとって画期的でした。この成果を生み出した手法とチームは、現在では社内の新たなマーケティング業務の土台となっており、データの保有や、消費者との直接的な関係の構築を可能にしています。CPG としては稀に見る成果ですが、データコラボレーションを活用すれば不可能ではありません。
現在の状況
一連の取り組みを通じて、ダノンのマーケティングの俊敏性は高まりました。リテールパートナーとの連携や、LiveRamp の Safe Haven の活用、ナンバリーのデータサイエンティストとの協力によって、ダノンは次のような作業が可能になりました。
- ビジネス目標をチャネルごとのマーケティング予算に照らして評価
- KPI を週単位で正確に測定
- ビジネスの優先順位に沿ってリテールチャネルを最適化
- クッキーに依存しない強力な ID を使用してキャンペーンを実施